「ask to」と「ask for」の使い分けについて悩むことはありませんか?
どちらも「頼む」「お願いする」という意味を持ちますが、使い方や文の構造に違いがあります。間違ったまま覚えてしまうと、実際の会話で通じないこともしばしば。
そこで本記事では、両者の違いや使い分けについて悩まず理解できるように体系的に整理しました。
読み終わる頃には、 「ask to +動詞原形」「ask for +名詞」を自然に使いこなせるようになり、英会話やライティングのクオリティが一段アップするはずです。
それでは、さっそく違いを見ていきましょう!
「ask to」と「ask for」の違いを簡単に説明
最初に、基本的な違いについて見ていきましょう。
『ask to』は、「~するよう頼む」「~させてほしいと願う」という「行為」にフォーカスした表現です。
一方『ask for』は、「~をください」「~を求める」と「物・情報・人物」そのものを要求する表現です。
文法的には、ask to の後ろに来るのは動詞の原形、ask for の後ろは名詞・名詞句が続きます。
以下の表とリストで概要を整理します。
| 項目 | ask to | ask for |
|---|---|---|
| 直後に来る語 | 動詞の原形 | 名詞・名詞句 |
| 求める対象 | 行為・動作 | 物・情報・人物 |
| 例文 | I asked to leave early. | I asked for advice. |
『ask to』の使い方と表現例
『ask to』は、他動詞として目的語(人)を挟んで使う場合と、自動詞的に使う場合の2パターンがあります。
他動詞的用法『ask 人 to do』では、「相手に~してほしい」と行為を依頼します。自動詞的用法では、「私が~させてほしい」と自分の行為を上司などに願うニュアンスです。
どちらも「to+動詞原形」という不定詞が来る点は共通ですが、目的語の有無によって意味が180度変わるので要注意。
以下で具体例を掘り下げます。
『ask 人 to do』の使い方と例文
相手に行為を依頼するとき、『ask+人+to+動詞原形』の形で使います。
例:The teacher asked the students to submit the report by Friday.
(先生は生徒に金曜までにレポートを提出するよう頼んだ)
ask 人 to do = 「(人に)〜するように頼む」
to doで行為を示し、その行為を頼む相手を目的語で指定します。
命令ほど強くなく、丁寧に依頼するニュアンスを保てるためビジネスメールでも頻出します。
“Could you ~?” と組み合わせればさらに柔らかくなるので覚えておくと便利です。
- Can I ask you to double-check this file?
- We asked them to arrive by 8 a.m.
- He asked his assistant to make a reservation.
『ask to』の使い方と例文
自分が何かをしたいときに「〜してもいいですか?」というニュアンスで使います。
例:I asked to leave early.(早退させてほしいと頼んだ)
ask to do = 「(自分が)〜したいと申し出る」「〜させてほしいと頼む」
他にも “ask to speak first” 「最初に発言させてほしい」、“ask to join the project” 「プロジェクトに参加させてほしい」など、to以下に動作を置くだけで意図が伝わります。
ただし request や want と混同して “ask leave early” のように前置詞を省略すると文法エラーになるため注意しましょう。
- I asked to see the manager.
- She asked to take a day off.
- They asked to be seated by the window.
このように、 ask O to do と ask to do は「誰が行動するか」が違うので注意しましょう。
『ask to』がいらない場面とは?
日本語に引きずられて “ask to someone” や “ask that to do” といった誤用が多発しますが、英語では ask と to の間に人を置かない限り『to+人』の組み合わせは成立しません。
また目的語が名詞なのに『ask to』を選ぶミスも頻出。
具体例で確認しましょう。
| 誤り | 理由 | 正しい形 |
|---|---|---|
| I asked to a question. | to の後ろは動詞原形が必要 | I asked a question. / I asked about a question. |
| She asked to help. | help が名詞か動詞か曖昧で誤解を招く | She asked for help.(助けを求めた) |
『ask for』の使い方と表現例
『ask for』は、欲しい物・情報・人物を具体的に指し示すときに用います。
前置詞「for」 のコアイメージは「目的地・方向」なので、求める対象を名詞で示し、「その物に向かって手を伸ばす」感覚がポイント。サービス業の会話からビジネス交渉、日常のちょっとしたお願いまで幅広く使え、言い方次第で丁寧にもカジュアルにも調整可能です。
『ask for』+名詞の例文と意味
名詞を置くだけで簡潔に「~をください」と頼めるため、レストランやショップで最も重宝される表現です。
例:I asked for water.(水を頼んだ)
さらに “ask for directions” なら「道を尋ねる」、“ask for permission” で「許可を求める」と抽象名詞にも対応。
ポイントは、『欲しい対象が名詞なら迷わず for』というルールを押さえることです。
- I asked for a refund.
- She asked for more time.
- They asked for the latest figures.
「ask for + 人」のように、人物を指定することもできます。これは「その人に会いたい・その人を呼んでほしい」という意味になります。
- I asked for John at the reception.(受付でジョンに会いたいと伝えた)
- A customer asked for the manager.(客が店長を呼んでほしいと言った)
英会話で使える ask for の例文集
会話シーン別に即座に使えるフレーズをストックしておくと、実戦での応用が加速します。
文末の括弧内にカジュアル・フォーマルのラベルを付けているのでシチュエーションに応じて使い分けましょう。
| 状況 | 英文 | フォーマル度 |
|---|---|---|
| レストラン | Could I ask for the menu, please? | 丁寧 |
| 電話 | May I ask for Mr. Brown? | 丁寧 |
| 友人 | Can I ask for a ride? | カジュアル |
| 職場 | I’d like to ask for a day off next week. | 中 |
まとめ|正しい英語表現で「ask」を使いこなすコツ
本記事では、 ask to・ask for の違いと使い分けについて解説しました。
要点としては、『ask to』は行為を、『ask for』は物・情報・人物を求める表現となります。丁寧度を調整したい場合は助動詞(could, would)やクッションフレーズ(would it be possible…?)を使い、相手への敬意を示すことができます。
本記事で紹介した表現を参考に使い分けを意識し、英語コミュニケーションの質を引き上げていきましょう。
